ご挨拶

1973年8月18日に設立された全日本博物館学会は、2023年に50周年を迎えました。戦後の経済成長が続く中で各地に多くの博物館が誕生し、博物館の機能や運営のあり方についての指針が求められる時代の要請に応えるかたちで、博物館学を振興し、博物館に関する研究を進め、その進歩発展に寄与すると共に、研究成果の利用普及を図ることが、本学会の設立の大きな目的でした。大学で学芸員を養成する教員をはじめ、現場の学芸員を含めた幅広い会員の積極的な参画による本学会の活動は、博物館学の多視的な研究と真摯な議論から生み出される新たな理論を博物館現場の運営に反映させ、その実践の成果を検証することで新たな理論構築に向かう循環によって支えられ、理論と実践が車の両輪として機能することで、博物館学の発展と博物館運営の充実を進展させるという、本学会の基本的理念に支えられています。

学会設立から半世紀を経て、博物館を取り巻く社会環境は大きく変化を遂げています。気候変動など地球規模の課題への対応をはじめ、現在から未来に生きる人々のために、より積極的な役割を果たすことを期待されている博物館が、どのような理論の下に持続可能な運営を果たすことができるのか。そこには、基本的機能の充実はもとより、その資源と知見を、地域や社会の課題解決や主体である利用者の「より良い未来」に活かす情報発信の仕組み作りなど、示すべき理論、実践すべき活動に向けて研究すべきテーマは、より広く深くなりつつあります。

2022年にICOM(国際博物館会議)が示した新たな博物館の定義や、2023年4月に公布された改正博物館法の内容等について、改めてより広範な視野からの研究に基づく理論の構築と現場での実践と検証が求められています。課題多い未来に博物館がその役割を果たすために、本学会は、これまでに育まれた良き伝統を大切に、次の半世紀に向けて新たな歩みを進めていきます。

そのためには、博物館学の研究者から館長や学芸員、博物館を支える職員はもとより、何より博物館の主体である幅広い利用者の皆さんが、本学会の活動に参画し、自由で活発な議論を交わすことが必要です。

ぜひ一人でも多くの博物館に関心を持つ皆さんが,全日本博物館に入会され、議論の輪に加わってくださることをお願い申し上げます。

全日本博物館学会
会長 半田 昌之

全日本博物館学会について

学会名: 全日本博物館学会

英 称: The Museological Society of Japan

事務局: 〒150-8440 東京都渋谷区東4-10-28 國學院大學博物館学研究室内

設 立: 1973年8月18日

会 長: 半田 昌之

役員数: 16名

会員数: 478名 (2024年7月現在)

全日本博物館学会 概要